年末年始

晦日、実家の母から電話があって、いつ帰ってくるのか、ということを訊かれました。例年は暮れの内に帰省していたので、向こうはそのつもりだったのでしょう。おれは元日に帰るつもりだったので、そのことを告げました。「今日まで仕事なの?」と言うので「ううん」と否定したつもりだったんですけど、肯定したように聴こえたらしくて、「あらそう。大変ね。わかったわ。」という展開になり、おれが嘘をついたみたいになってしまいました。母さんごめん。仕事なんかありません。半月前にやめちゃいました。またしてもです。


夜は6時ごろからテレビを見はじめ、年が明けてからも、だらだらとテレビと見続けて朝方になってから寝ました。ちなみに大晦日に帰りたくなかったのは、実家はチャンネルが紅白固定だからです。


元日は昼ごろ起きて予定通り実家へ。晩御飯は手巻き寿司でした。お正月は豪華メニューになるので好きです。母親が「仕事は頑張ってるの?」と訊いてきたので、しかたなく、辞めたことを白状しました。両親はおどろくというよりも、「ああ、やっぱり」という顔で、がっかりした様子でした。楽しいはずのお正月ディナーを台無しにしてしまいました。父が「どの仕事もそんなに楽じゃない」と軽い説教モードに入ろうとしたのを、母が止めてくれました。おれは、引きこもりの人が両親を殺してしまった事件を思い出していました。その時点で殺意を抱いてしまったわけではありませんが、もし一緒に暮らしていて毎日小言を言われたり、変にプレッシャーをかけられたら、ひょっとしてひょっとするかもしれないと思いました。自分のことが信用できません。


その後は特に何も言われることもなく過ぎ、3日にアパートに戻ってきました。家を出るときに母がこっそりお金をくれようとして、一旦は断ったんですけど、結局はもらってしまいました。この歳になってお年玉をもらうなんて…。そんな痛々しい年末年始でした。