ライブに行ってきた


むかしの職場の同僚がバンドをやっていて、その人が出るライブを観に来ないかと誘われた。基本的におれはライブに行かない。いっしょに行く人がいない。行ったとしても拳を突き上げたり、飛び跳ねたり、頭を縦にはげしく振ったりできないからだ。でも今回はせっかくのお誘いだし、生演奏を聴くことはおれの情操教育にいいにきまっているので行くことにした。


会場は50人くらいが入るライブハウスだった。こういう小さいところは初めてかもしれないなと思った。ステージが近い。いくつかのグループが演奏した。メタル、デスメタル、弾き語り、メタル…。メタルばっかりだ。なぜ?たぶん、みんな30代だからだ。彼ら(つうかおれも含まれる)が10代のころはメタルが流行っていたからな。そんなおっさんたちが、ちょっと昔をなつかしんだりするような、内輪的なライブだった。(まあ、おれにとってヘビーメタルといえば重戦機エルガイムだが。)


まわりはものすごくもりあがっていた。言葉はわるいが、こいつらデカい音が鳴っていればなんでもいいんじゃないか、と思った。それはたぶん部分的に正しくて、全体的には正しくない。おれはといえば、ぎこちなく体を動かしてみたりもしたが、おもに踊りくるう女たちをエロい目で見ていた。


ライブは良かった。楽しんだと思う。しかし、このとき聴いた曲を家で聴きたいとは思わない。ライブでもりあがる要素と、家で聴きたいと思う要素は別のものだ。両方を持たすことは可能だろうが、必ずしも両方である必要はない。そういうものだろう。では、おれが求める要素、あるいは一番込めたい要素はなんだろう。それは、いっしょに歌いたくなる要素だろうな。ということを思った。


終了後飲み会に誘われたが、逃げるように帰宅した。