村長

大統領の娘をつれて今日は村長を殺した。


村はずれの小屋で村長は待っていた。おれが中に入ると入り口をふさいでしまった。一対一で戦うつもりらしい。村長は変形した。腹が大きくひらいて、人間の腕じゃない、寄生獣のような腕をふりまわしはじめた。どうりで二人きりになりたかったわけだ。こんな姿は村人にも見られたくはなかろう。


ギリギリのところで村長の攻撃をかわしながら、ショットガンを打ち込む。村長の胴体がちぎれてしまって、下半身だけがヨタヨタと歩いて、ドタっところんだ。上半身はというと、小屋の梁をテナガザルのように移動している。シルクドソレイユもびっくりする人間離れした技だ。合衆国に渡ればショウビジネスの世界で成功できたのに。このままの状態で放っておくのもかわいそうだったのでショットガンを何発か打ち込んで終わりにした。


実は村長はここに到るまえに、何度かおれと遭遇しては見逃してくれていた。本当はお互いに戦いたくはなかったのだ。最初うちに、まだおれが数人しか殺してないうちに、村長が村人の狂騒を抑えてくれていたら、こんなことにはならなかっただろう。と勝手なことを考えた。


腹がへったのでコンビニへ買い物に行く途中、犬を引きずった男がシャベルを持って向ってきたので、ハンドガンで応戦したら、男は怪訝そうな顔を見せて行ってしまった。仕留めそこねて気分がわるい。


そしてまた村人がうじゃうじゃと現われたので、走って城の中に逃げ込んだのだが、そこはカルト教団のアジトのようだし、でてくるやつがどいつもこいつも生物学的に変化しているバイオハザードだ。よし、こうなったら城の連中もみな殺しにしてやろうと、意気揚々なのだが、この日記にはもうあきた。