1/16火曜日

ひさかたぶりに朝、バスに乗った。朝の通勤時間帯のバスの中や、電車の中の殺気立った雰囲気が苦手なの。なんだかーうまく息がーで・き・な・いーのと。


今日怖かったのは、サラリーマン風の男がバスの中から、外の自転車やバイクにむかって文句をいっていることだった。やや大柄の体格をスーツでつつみ、黒ぶちメガネをかけ、髪は坊っちゃん刈りというのか。その男(40才くらい)が、「ったくあぶねーなあ」、「どうせバイトなんだろ」、「茶髪にしやがって」などと言っていて、もちろんその男はツレなどおらず独りでいたのだから、おれはその男は狂っていると思った。


その男が如何にも無職風だったりニート風だったら、たいして気にならなかったのだが、実際には如何にもこれから会社に出勤するみたいだったから怖かったのだ。


無職だったらその男は狂ったことが原因で職を失ったと推測できる。あるいは狂っているからはじめから働けないとか。なんにしても狂ってから時間がたっている。狂ってしまってからもそれなりに生きて、安定期に入ってから、今朝おれに出会ったことになる。


しかし、実際におれの目の前にいた男はまだホワイトカラーの仕事をクビなっていないようなので、昨日までまともだったと考えられる。今日、狂ったのかもしれない。むしろ、狂った瞬間におれが立ち会ったと言ってもいい。


昨日今日に狂った人間は何をするかわからないではないか、とおれは戦慄したわけだ。まあ、普通に広告をながめるふりをしていただけなんだけど。