はじまり

気が付いたら、昨日から小さな村の住人を惨殺していた。始めはそんなつもりではなかったように記憶している。最初のひとりは50才前後のおっさんだった。


何んだったかわすれたが、何か尋ねようと、おっさんに話しかけたところ言葉が通じない。濃い顔をしているし、外人のようだ。おっさんはいきなり斧を振り上げて襲ってきた。意味がわからない。おれは護身用にいつも持ち歩いている拳銃を、男に向けてかまえた。それでもおっさんはおかまいなしの様子で襲ってきた。あたまがおかしい。おれは恐ろしくなって発砲した。訓練など受けていないので、狙いを定めている余裕はなく、めちゃくちゃに撃った。おっさんは撃たれても攻撃の意志を失うことなく向ってきたが、数発の弾丸を受けて、やがて動かなくなった。死んだようだ。


こうしておれは人を1人殺してしまったのだが、そのことにあまり現実感はなかった。相手が外人の薄汚いおっさんだったからか…。これがピチピチ女子高生だったら撃てなかっただろうか。いや、人の命は等しいはずだ。一方で意外と渇いた音の銃声と、予想以上に筋肉に残る銃の反動の感覚が生々しくて興奮した。


銃声を聞きつけて近所に住む人たちが、わらわらと集まってきた。おれは警察に出頭し、正当防衛を主張するつもりだった。


近所の人たちもみんな外人だった。そろいもそろって、薄汚いおっさんと、醜く肥えたおばはんばかりだ。萎える。なんと連中が農具を持って襲ってきた。おれに直接制裁をくわえるつもりだ。警察所はどこだ。


おっさんのひとりが斧を投げつけてきた。あ、あぶないじゃないか。おれはブチきれた。そのおっさんを撃つ。頭が吹っ飛んだ。ああ、気持ちがいい。


そのあとはもう殺しまくった。何人殺しても同じだ。襲われる前に殺っちまったほうが安全だ。物陰から狙い撃ちでしとめたりした。