給与明細が届いた。ということは給与が振り込まれるのだろう。


この数日間、もし給料がもらえなかったらどうするか、ということを考えていた。労働の対価が支払われるのは当然であり、「今日の今日、辞めます」ということをやらかしたペナルティ、あるいはそこから会社が被った損害は、別途その明細を添えて請求されるべきである、と小賢しく考えていたおれと、給料がもらえなくっても仕方ないかなあ、自分が悪いんだし、もらえなくても文句は言えない、と思っていた愚かで愛しいおれがいたわけだけど、実際に給料が振り込まれなかった場合、ただ電話するのが怖い、という理由だけで、そのまま放置したことだろう。


しかし給料が振り込まれることはほぼ間違いないと思われるので、会社の人には感謝している。その感謝の意を伝えるためにもやはり、連絡を入れるのが社会の常識であると知っていながらも、その気はないし、半分あきらめていた金が入ったら、その金額の半分くらいは慈善に使うのが良識ある人間の行動なのだろうけど、その気もない。


このようなおれは一般社会では通用しない。その結果が今現在の無職だ。どのような善意にも反論しないし、したくもない。ただ、そのようなおれでも、さまざまな理由によって、ここにこうして存在していられるということを、ささやかに知らしめるのだ。