心揺れる


2年半くらい前まで正社員として務めていた工場から連絡があった。人が足りないので、ちょっと手伝って欲しいということだった。ちょうどバイトをバックレて無職になったばかりの、このタイミングでだ。実は、その工場で再び働かせてもらうことを、選択肢のひとつとして考えていたところなので、なんだか気味がわるいくらいだ。


今回の件は超短期のバイトという話だったけど、希望すればそのまま長期でも行けそうな感触だった。そうして、しばらく働いたあと、さらに希望すればまた正社員として雇ってもらうことも、ありえない話ではない。


そこで働いていた当時の思いがよみがえってくる。それなりに居心地が良い場所で、それなりにやりがいのある仕事だった。なによりおれを必要としてくれていた。


どうして、そんな会社を辞めたかというと、ひとことでは語れないので、よしておく。「自分を見つめ直す時間が欲しかった」、「自分の可能性を試したかった」とか陳腐でしょ。でもまあ、実際そんなような理由だ。そして辞めるときから、また戻ろうと思えば戻れる、というような甘い考えがあったような気がする。


だけど、本当に戻るとしたら、このタイミングが最後のチャンスなのかもしれない。