誤解しないでほしいが
同年代の人の出世が決まったようです。その彼とおれの関係はというと、かつておれの方が先輩でした。おれが居た現場に彼が入ってきたので機械の操作などを教えました。その、いちおう先輩後輩という関係は、おれが会社を辞めるまで続きました。それから数年後、おれは同じ会社に再入社したのですが、そのときにはもうすっかり、彼は現場の中心人物になっていました。おれは浦島太郎。彼は管理職へとクラスチェンジ。
現在、おれは関係のある別の部署にいるので、彼とは友だちライクです。
友だちライクが管理職! 友だちライクが管理職!
新鮮な感じがする。
今まで、おれから見ると、管理職というのは始めから管理職であり、年寄りだったり、いけ好かなかったりしたものです。だから、友だちが管理職というのは、初めての経験です。なあなあな感じがして、仕事がやりやすそう。
おれにしても、彼にしても、底辺工場の現場にフリーターあがりで入った人間です。それでも、いちおう、上に行けるんだなあ。そうか、長く会社にいると、こういうこともあるんだなあと、感慨深く思いました。このことは前述のようにおれ自身にもメリットをもたらすので、嬉しいことです。全面的に彼をバックアップして行こうと思いました。
だが、おれは知っている。出世しても給料はロクに上がらない。
それでも、おれは気付いている。わずかながら自分の中に確実にある。妬み、嫉妬、ちっぽけなプライド、焦り……。
これらの感情には気付かぬふりをするのではなく、しっかりと見張っていくことが肝要かと思いました。