マインド・ゲーム


DVDレンタルで観た。原作の漫画も知らなかったし、劇場公開したときもぜんぜん気付かなかったんだけど、これは、観たら思わず誰かに勧めたくなる一品、だと思った。

マインド・ゲーム [DVD]

さえない主人公が、ひどくみっともないかたちで殺されて、後悔してもう一回やり直す話。やり直すといっても、その後の舞台はめちゃくちゃ非現実的な場所へ……。だけど、そこがいい。突き抜けていてとても面白かった。


登場人物それぞれの性格や生い立ちはリアルだった

たとえばヒロインの姉であるヤン。家庭の事情や長女であるというしがらみから、ものわかりの良いおとなしい女性として生きてきたが、非日常閉鎖空間に放り出されることによって、本来もっていた芸術的表現を発露させていくところなどがよかった。

ラジオもってまーす

それから、じーさんの声をやった藤井隆もよかったし、「ラジオもってまーす」というセリフは、DVDの特典映像でも触れられているけど、コミカルであり、深くもあり、ほんとうによかった。

セックス

あと、セックスの描写で、チューした瞬間電撃が走るような感覚を、アニメならではのファンタジックな映像で表現しているところは、本質的な意味で脳内イメージをリアルに表現していたと思う。また、事後に船縁から上半身だけ出して、下にいる人としゃべるシーンで、下半身は裸のままっていうシチュエーションが生々しくて、その前の幻想的との対比が効いていた。




監督の湯浅正明は「クレヨンしんちゃん」にかかわっていたと知り、てっきり、あの「大人帝国の逆襲」かと思ったのだが、そうではなく、もう少し前の作品やTVシリーズ作画監督などをしていたそうだ。なので直接は関係ないのだけど、いろんな意味で「大人帝国の逆襲」に通じるものを感じた。ノスタルジー具合だったり、うは、こんなおもすれーの、すげー、見逃してたよ、みたいなかんじ。


人生はちょっとしたことでどんな方向にも転ぶ。いつの時点からも無限の可能性がある。それは、いまからでも……。


この作品を観てすこしやる気が出た。